"不思議な湧き水"の謎『ナイトスイム』

　温泉に行くと、肩こりが和らぐなど何かしらの効果を得られるように、"湧き水"には不思議なパワーがありますよね。そんな"湧き水"があるプールを題材にブラムハウスが作ったホラー映画『ナイトスイム』は少し変わったお話に仕上がっていました。

　多発性硬化症でキャリアを絶たれた元野球選手のレイは、リハビリを兼ねて、妻のイヴ、娘のイジー、息子エリオットはとともに、プール付きの一軒家に引っ越してきます。医者から勧められた水泳で、症状を和らげることに努めていたレイ。そして一家は、自宅のプールの水が治療効果のある自然の湧き水であることを知ります。そしてレイの病状が奇跡的に回復。その一方で、イヴや子どもたちはプールでの不可解な現象に悩まされるようになり......。

　本作の見どころの一つは、アメリカの子どもたちがよく遊ぶプール版鬼ごっこ「マルコポーロ」のシーン。イジーが気になる男の子と夜にこのゲームを遊ぶのですが、"甘酸っぱい青春"のシーンから一気に不吉で恐ろしい展開へと豹変していきます。プールパーティーなどで大盛り上がりするこのゲームを一瞬にして恐怖体験へと変える......まさにブラムハウスらしい巧妙な演出だと感じました。その一方で、プールの中に潜む恐ろしい存在が少しチープに感じられたのが残念ポイント。

　本作は、ホラーの王道な展開ではあるものの、プールという普段は楽しい場所を舞台にしたことから、斬新な作品に仕上がっています。ヒヤッとした感覚を味わいたい方におすすめ。

（文／トキエス）