SNSで流行中の"チャレンジ"が襲う悲劇『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』

　最近TikTokなどで流行中のチャレンジに挑戦し、大怪我を負ったり、命を落としてしまったりという海外ニュースを聞くことがありますが、そんな「チャレンジ」が襲うホラー的悲劇を、人気YouTuberの双子の兄弟ダニー＆マイケル・フェリッポウが監督し描いた『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』。オーストラリア初の本作はすでに続編も決定しています。

　高校生のミア（ソフィー・ワイルド）は、友人からの誘いで、SNSで流行中の「90秒憑依チャレンジ」に参加することに。"呪われている"とウワサの手の置物を握り「トーク・トゥ・ミー」と唱えると霊が憑依すると言うもので、90秒以内に手を離さなければならないというルールがありました。そのとてつもないスリルにのめり込む若者たち。しかし、メンバーの1人に"ある霊"が憑依したことで事態は一変し......。

　チャレンジしている間は、周りの若者が一斉に携帯電話を構えて動画を撮影。SNSにのめり込んだ若者たちの姿を包み隠さず徹底的に描いた本作。"憑依"されている間の言動は全く別人で、恐ろしい。「うわ......」とドン引きしてしまうような行動も堂々と描いています。ソーシャルメディアに依存する人々の中に潜む闇の部分や喪失感、トラウマなどをうまく描き、現代的なホラー作品としての力強い作品となった本作。そして何よりミアを演じたソフィー・ワイルドの苦悩に満ちた演技で、親近感がより増して映画の世界にどっぷり浸かれます。映画の後半のミアの行動や選択が納得いかないものであっても、感情移入してしまうのが彼女の演技の不思議なパワーでした。ちなみに前述した通り本作の続編は早くも決定しており、シリーズ化を願う声も。ぜひ友人たちと鑑賞してみてください。

（文／トキエス）