もやもやレビュー

願いは誰かのために。『サンタ・ボックス』

サンタ・ボックス(字幕版)
『サンタ・ボックス(字幕版)』
スパンキー・ダスティン・ワード,キャミ・カーバー,テイタム・ラングトン,ダニー・ジェームズ,サラ・アイヒナー,ショーン・スティーヴンス
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 少女ケイリー(キャミ・カーバー)と母レイチェル(テイタム・ラングドン)は、クリスマス前の感謝祭で家が火事になり、引っ越しを余儀なくされます。引っ越し先は、町中でクリスマスの飾りつけをしたりクリスマスパーティが催されたりとクリスマスを祝う風習のある町でした。
 しかし、ケイリーはクリスマスに父や祖父を亡くしていて、今回も火事に見舞われたため、クリスマスが大嫌いでした。

 そんなケイリー親子の新居に、パーティを主催したりと町内で力を持っているネリーが挨拶に来ます。隣の家に住む老人オットー(ショーン・スティーヴンス)は元ナチスだとの噂がある危険人物だと忠告されます。

 ところが、蓋を開けてみれば、オットーはとても優しいおじいちゃんでした。近所の少年に庭を荒らされたオットーをケイリーが助けたことで仲良くなったのです。ひどい目に遭うオットーを心配するケイリーでしたが、"復讐するよりも許すこと"、"本当の姿を知ると敵は敵でなくなる"など、逆にオットーから沢山のことを教わるのでした。

 そして、ケイリーのもとに、"サンタ・ボックス"が届きます。それはサンタの絵が描いてある小さな木箱で、中に、「願いを書けば叶える」と書かれていました。半信半疑のケイリーでしたが、仕事で必要であろうパソコンを母にと願い、見事届きます。以降、ケイリーは困っている人のためにサンタ・ボックスで蔭ながら願いをし続け、皆を助けるのでした。

 オットーの優しさもさることながら、ケイリーの人のために行動し願う自己犠牲の精神にもすごいなと思わずにいられませんでした。自分ならどうするか試しに考えてみましたが、いくら考えても私利私欲の願いしか出てこず、ただただみじめな気持ちにさえなりました...。
 オットーの格言めいた言葉に心が洗われ、また、オットーとケイリーの交流に心が温まります! 一足先にクリスマス気分を味わうのにもおすすめの一作です。

(文/森山梓)

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