もやもやレビュー

一児の母が近所の少女をストーキング『アンストッパブル』

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 『ミレニアム』シリーズなどで知られる実力派女優のノオミ・ラパスが主演務めたオーストラリアの映画『アンストッパブル』。一児の母が、知り合いの幼女をストーキングするという恐ろしい物語で、ノオミ・ラパスと、標的になった幼女の母親役であるイヴォンヌ・ストラホフスキーの渾身の演技に圧倒されました。

 リジーとマイクは、7年前に不慮の事故で娘を亡くし、今は11歳の息子を育てています。リジーは娘を亡くして以来、何事にもうまく対処できずに息子との予定も忘れがち。そしてマイクは、息子の親権を求めて訴訟を起こします。そんな中、リジーはマイクの友達のバースデーパーティに参加。そこで、ある少女と偶然出逢います。リジーは現実を見失い「自分の娘が戻ってきた」と思い込むように。リジーは少女にのめり込み、彼女の両親との交流を開始させます。

 リジーの行動はエスカレートしていき、「いつ少女を誘拐してしまうのだろうか......」という不安を観客に与えます。しかし、物語は意外な展開へ。「娘に執着する母」を題材にした映画は『ゆりかごを揺らす手』や『RUN/ラン』などがありますが、私がこれまで出会ってきたスリラー映画とは全く違う斬新な展開に驚かされました。ノオミ・ラパスとイヴォンヌ・ストラホフスキー、2人の「母親として」戦うシーンは必見。2人の演技力が高かったからこそ、この作品が良作になったのだと実感しました。どんよりとしたシーンが多くやや地味に撮影されていますが、それも物語をより一層引き立てているのも感動しました。

(文/トキエス)

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