もやもやレビュー

ジェームズ・ワン監督を魅了した80年代カルトホラー『バスケットケース』

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 1980年代を代表するホラー映画のひとつ『バスケットケース』。後に続編が2作公開されましたが、やっぱりオリジナル版がピカイチで、長年ホラーファンから愛されています。『死霊館』シリーズなどで知られるジェームズ・ワン監督ほか、多くのフィルムメーカーたちも魅了した本作、実は"撮影の工夫"がたっぷりの一本でした。

 主人公は、大きめのバスケットケースを抱え、ニューヨークにやってきたデュアン。彼は安宿に一泊20ドルで泊まり、ある計画を実行しようとしていました。デュアンは実は双子の弟で、シャム双生児として奇形の兄ベリアルと一体として生まれましたが、父親に命令された医師に無理やり引き裂かれてしまった過去を持ちます。デュアンが大切に抱えていたバスケットケースの中身は、兄ベリアル。双子は協力しあい、自分たちを引き裂いた医者たちに復讐してまわることになりますが、そんな中、デュアンは病院の受付の女性と恋に落ちてしまい......。

 CGなどの技術が普及する前の映画とあって、作り手の工夫に感動してしまうのがこの映画。ベリアルが動くシーンのいくつかはストップモーションアニメが使われていて、さらにベリアルが人を襲うシーンは、監督自身が手袋をはめてベリアルの手を演じたのだそう。かなりの血の量が使われていますが、グロテスクなシーンでさえ、作り手のこだわりが見えた一本でした。

 ちなみに2021年に公開されたジェームズ・ワン監督の映画『マリグナント 狂暴な悪夢』は、『バスケットケース』からインスピレーションを受けたと、ワン監督本人が明かしています。本作を見てから、『マリグナント 狂暴な悪夢』を見るのもきっと楽しいはず。

(文/トキエス)

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