もやもやレビュー

生活に余裕のない主婦が夢を叶える『ジョイ』

ジョイ (字幕版)
『ジョイ (字幕版)』
ジェニファー・ローレンス,ブラッドリー・クーパー,ロバート・デ・ニーロ,デヴィッド・O・ラッセル
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 ビジネスにまつわる映画といえば、起業を検討中の人や新しいことを始めたい人の背中を押してくれる人気のジャンル。よくある"やる気が出る映画"というのは、こういうビジネスがらみのものが多かったりします。それでも、ビジネスを成功させるには大きな挫折がつきもの。そんなビジネスの厳しさを描きながらも、主婦という立場から成功を得たストーリー、『ジョイ』を今回はご紹介します。本作は、アメリカの実在する発明家、ジョイ・マンガーノの半生を基に描かれています。

 ジェニファー・ローレンス演じるジョイは、子どもの世話に追われている主婦。母親はベッドの上で昼ドラばかり見ていて、地下には元夫トニーが住んでいる。さらに父親も恋人と別れ、家に転がり込んでくる始末。そんな"カオス"とも言える状態で、今日一日を生きるのが精一杯なジョイ。彼女はある時、割れたガラスが混じったモップを手で絞った経験から、画期的なアイディアを思い付きます。そこから、手で絞らなくていいモップを発明。さらには、有名ショッピングチャンネルの「QVC」のニール・ウォーカーに出会い、彼女のモップが番組で紹介されることに。

 ジョイが置かれているのは"不安定な"家庭環境。そのため、何かと成功を妨げる問題が多くのしかかってくるのです。異母姉が「私も発明してみたい」と言い出したり、勝手に代理人になってみたりと、ジョイが見ていないところで多くの問題が発生していく。そんな中でも自力で頑張るジョイ。しかし、彼女の夢が踏み躙られるような出来事も起こり、ビジネスはそんなに甘くないということをひしひしと思い知らされるのです。「ここでやめるか、やめないか」そんな選択肢って、生きている上でたくさんあると思います。この物語は「ここでやめなかった」人のストーリー。きっと勇気ももらえるし、ビジネスの参考にもなると思います。

(文/トキエス)

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