迷い犬が育む野生動物との絆『ベラのワンダフル・ホーム』

　俳優のチャールズ・マーティン・スミスがメガホンをとったワンコ映画『ベラのワンダフル・ホーム』。本作は、2017年に映画化された『僕のワンダフル・ライフ』と同じ著者、W・ブルース・キャメロンによる小説を映画化したものです。そして、実写版『リトル・マーメイド』でエリック王子役を演じたことが記憶に新しい、ジョナ・ハウアー＝キングが犬の飼い主を演じています。

　猫たちが暮らす廃墟の下で生まれた犬のベラ。母親と離れ離れになってしまったベラは、猫に育てられます。そんなベラを見つけたのは、退役軍人病院で働く大学生のルーカス。ベラはルーカスが大好きで、幸せな生活を送っていましたが、あることからルーカスと離れ離れに。彼女は、「ルーカスに会いたい」という想いだけで、壮大な旅をすることになります。

　ベラの声を担当するのは、『ジュラシック・ワールド』シリーズなどで知られるブライス・ダラス・ハワード。飼い主を想い続ける犬の心境を、純粋な犬目線で表現しているのが素敵なポイントでした。ちなみに監督のチャールズ・マーティン・スミスは過去に北極圏でのサバイバルストーリー『ホワイトクラッシュ』を制作していたことから、この作品にもそれが影響しているのでは？と思うシーンがちらほら。それは、ベラと野生動物とのコミュニケーション。ちょっとCGIが目立つシーンではあるものの、動物たちの絆に心奪われます。

　そのほか、PTSDを抱える戦争帰還兵や、捨てられた犬、さらに犬種による差別なども描いた本作。犬にまつわる映画はどれも涙腺崩壊ですが、本作もハンカチ必須です。

（文／トキエス）