もやもやレビュー

舞台は都会へ。狂気のリバイバル『死霊のはらわた ライジング』

死霊のはらわた ライジング
『死霊のはらわた ライジング』
アリッサ・サザーランド,リリー・サリバン,ガブリエル・エコールズ,モーガン・デイビス,ネル・フィッシャー,リー・クローニン,リー・クローニン,サム・ライミ,ブルース・キャンベル
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 サム・ライミ監督の1981年の名作『死霊のはらわた』。同シリーズはカルト的人気を誇り、グロテスクで血まみれ描写でもおなじみ。そんな同シリーズの正統派続編である『死霊のはらわた ライジング』は、これまでと同じ...というよりは遥かに度がすぎるスプラッター作品で、痛々しいシーン満載でした。

 『死霊のはらわた ライジング』の舞台は、ロサンゼルスの古びた高層アパートメント。雨の日に久々に再会した姉妹、ベスとエリー。そこで地震が発生し、長い間埋もれていた不気味すぎる書物やレコードをエリーの子どもたちが見つけてしまいます。興味本位で部屋へと持ち帰ったものの、そこからエリーの様子がどんどんおかしくなり......。

 これまで山小屋が舞台だった『死霊のはらわた』シリーズ。今回のカメラワークを見ると、ひび割れたコンクリートの側面を急降下したりスイングしたり、エレベーターのシャフトを駆け上がったりと、新たなスリルを味わえたことから、監督が高層アパートメントを舞台にした理由がわかったような気がしました。さらにアパートメントだからこその隣人たちを巻き込んだ悲劇も、かなり大胆に描かれているのが面白い。背筋が凍るようなゴア描写はオリジナル版同様楽しめますが、その間にしばしば大笑いするほど陽気だなと思えるシーンも盛り込まれていて、それが本作の魅力なのではないかなと思いました。

(文/トキエス)

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