切ない恋愛物語を"男性目線"で見た場合『ラブストーリーズ コナーの涙』

2013年のトロント国際映画祭で上映された『ラブストーリーズ コナーの涙』。愛と喪失、再生を"男性目線"で描いた印象的な作品で、本作には対をなす『ラブストーリーズ エリナーの愛情』があり、男女それぞれの視点から一つの恋愛ストーリーを楽しむことができるという斬新な構成が話題を呼びました。本作では、ジェームズ・マカヴォイとジェシカ・チャスティンが子どもを失くしたカップルを演じており、ビル・ヘイダーも出演。ちなみにこの3人は、ホラー映画『IT/イット THE END "それ"が見えたら、終わり。』でも共演しています。

主人公は、ニューヨークでレストランを営むコナー（ジェームズ・マカヴォイ）。妻エリナーから「あなたが浮気をする夢を見た」と伝えられ、さらには本当に浮気をすればこの関係はもっと良くなると提案されます。実は2人は過去に息子をなくしており、悲しみを抱えていたのです。関係修復に務めるも、エリナーはコナーのもとを去り、さらにコナーのレストランも経営難に陥ります。絶望の中、コナーはレストランで働くスタッフから誘惑され一夜をともにしてしまい......。

本作が米国公開時、映画館では『ラブストーリーズ コナーの涙』と『ラブストーリーズ エリナーの愛情』が交互に上映されていました。順番によって感情移入の仕方やストーリーの印象が大きく変わるという、映画鑑賞の新たな可能性を提示した実験的な試みが興味深いポイント。一方の作品で感じた感情や見落とした点が、もう一方の作品を観ることで補完されるのもとても興味深かったです。さらに、北米では両作を時系列に再編集した『Them（原題）』も公開されたそう。残念ながら日本未公開ですが、ぜひ機会があれば３本ともチェックしてもらいたいです。

（文／トキエス）