もやもやレビュー

【無観客! 誰も観ない映画祭】第24回『学校のY談』

『学校のY談』(VHS廃盤 / 筆者私物)

『学校のY談』
1996年・75分
監督/光石冨士朗
脚本/片岡修二、瀬々敬久、小林富美
出演/瞳リョウ、三枝美憂、神乃毬絵ほか

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 前回の作品は『会社の怪談』でしたが、実はその前年に『学校のY談』なんてのもありまして、もののついでに紹介しちゃいます。瞳リョウ・三枝美憂・神乃毬絵・藤谷かな・川奈由依・武田菜摘・竹中なお・田中美優・佐野和美・神崎さとみと、AV女優10名による豪華共演がウリです。これらは錚々たるメンバーなのでしょうが、実は筆者はAVには疎くて、90年代の伝説的な深夜エロ・バラエティー番組『ギルガメッシュないと』(テレビ東京)や『ロバの耳そうじ』(日本テレビ)に出演していた瞳リョウ以外誰も知りません。なので誰が何の役だか判別できず、判る範囲で作品を紹介していこうと思います。

 舞台は私立平成高校2年A組。ルーズソックス時代の女子高生達(瞳リョウほか)がトイレの花子さんを噂しています。それを廊下でフンフンと聞き耳立てていた用務員さんですが、夜の見回りで女子トイレから聞こえてくる女の声を聞いてしまいます。用務員さんが恐る恐る個室の扉を開けてみると、口裂け女! 悲鳴を上げて脱兎のごとく逃げていく用務員さんですが、中には男女の生徒がいて「もう、顔射だけはヤメテって言ったのに」と女子生徒。精液でリップが溶けて口の周りを真っ赤に染めていただけでした。ここまでがプロローグで、作品は三話構成のオムニバスになります。


第一話 奇怪編「人体模型慕情」
 化学部のメガネっ子・美紀(童顔ロリ系AVの三枝美憂)は、放課後になると理科室の人体模型を相手に自慰するのが日課です。ある日、美紀に片想いする浩一が理科室に忍び込み、その行為を目撃してしまいます。浩一に気付いた美紀は、小さい頃に知らないオジサンから悪戯されて男性恐怖症になったと告白します。やがてリケジョに成長した美紀は、人体模型でなければ性欲を満たせない体になっていたというのです。翌日、浩一は美術部の親友・木村に相談し(いやいや、そんな恥ずかしい女の子の秘密を第三者にバラすなよ)、人体模型のボディペイントを頼むのでした。浩一が何をしたいか、もうお解りですよね(笑)。
 放課後の理科室で、浩一を見て目が点になっている美紀に「あいつだと思ってヤッテみろよ」。「でも......」と躊躇する美紀に「一生人体模型とやっていくつもりかよ!」。覚悟を決めた美紀ですが、キスで舌を入れると「人体模型に舌はないわ」。股間をまさぐれば「人体模型の指は動かないのよ」などとイチイチ口を挟みます。だが浩一は「俺は人体模型なんかじゃない! お前は今、本当の人間と愛し合っているんだよ!」と押し倒し一気に挿入します。そして人体模型を見上げ「もうお前の役目は終わった」と勝ち誇るのでした。
 化学部を辞めて人体模型とオサラバした美紀ですが、なぜか美術部に転部します。もっぱら女子人気のイケメン木村目当てと生徒達の噂になり、聞き捨てならない浩一は美術部を覗きに行きます。すると全裸の美紀が、今度はギリシャ彫刻の石膏像相手にヤッテいたのでした、チャンチャン。

第二話 恐怖編「憧れの女教師」
 教室では保健体育の恭子先生(神乃毬絵)による性教育の授業が、男女合同で行われています。メガネが知的な白衣の美人教師の口から「ペニスがどうのこうの」とイヤらしいワードが並べられます。これは思春期の高校生には刺激が強すぎて、恭子先生は全校男子のオナペットと化し、授業中に鏡でパンツを覗かれるわ、廊下を歩いていれば胸を揉まれるわと性被害の日々を送っています。ある日、恭子先生は保健室に押しかけた不良3人組から輪姦されます。そこへ怪我の治療で入ってきた明夫(鏡でパンツを覗いた生徒)は助けようとしますが、3人にボコボコにされます。その夜、恭子先生は校舎の屋上から飛び降り自殺を遂げてしまいます。
 夜の保健室で「助けられなくてゴメン」と明夫が謝罪していると、恭子先生の幽霊が現れ「殴られても私を助けようと何度も立ち向かってくれて嬉しかったわ」と優しく明夫を誘惑します。明夫は「幽霊だっていいや」と、保健室のベッドで毎夜営みを繰り返すのでした。だが日毎やつれていく明夫を不審に思ったクラスメイトが尾行して保健室を覗くと、自殺の落下で顔が半分潰れ左目が垂れ下がった恭子先生と彼が性交しているではありませんか。クラスメイトの必死な呼び掛けによって正気が戻った明夫は、恭子先生の醜い顔を見て悲鳴を上げます。そんな彼を見た恭子先生は血の涙を流し、「明夫君、向こうの世界で待ってるわ」と成仏していくのでした。

第三話 心霊編「危ない課外授業」
 ある日、何気なくチェキで撮った仲間とのスナップで、真嗣の肩に誰のものでもない手が置かれていました。「心霊写真だ!」と皆は騒然としますが、居合わせた他校のコギャル2人がそれを見て、1人が「私のオバサン、霊能者なのでお祓いしてもらう? 30万円だけど特別に3万でいいよ」。真嗣はまんまと詐欺に遭います。「遊ぶ金できた〜♪」とトイレで私服に着替えて渋谷へ繰り出すコギャル2人組。こいつらはテレクラで会った男に何もさせず金だけ奪って逃げる常習犯で、今夜は中年会社員から前金もらって「SMよ」と画鋲を撒いたベッドに縛りつけて逃げました。
 だが怒った会社員はコギャル達を見つけ出し、拉致して仲間のオヤジとお仕置きのSMセックスを始めます。行為は撮影され「人に言ったらバラ撒くぞ」と、まさにリベンジポルノ。だがコギャル達もしたたかで、次に呼ばれた時にはSMに目覚めたフリをしてオヤジ2人のプレイ姿をチェキし、「会社に送るわよ」と再逆転。コギャル達がオヤジの財布から金を抜き取り、撮られた写真を回収しようとすると「キャッ」。彼女らの股間を謎の手が隠していたのです。......どんなオチだ!

 ちなみに『学校のY談 夏のスクール水着スペシャル』『学校のY談 ブルマー体操着スペシャル』なんて類似品もありましたが、別の会社の完全なAV作品ですので......え? そっちを見たいって?

【著者紹介】
シーサーペン太(しーさー・ぺんた)
酒の席で話題に上げても、誰も観ていないので全く盛り上がらないSF&ホラー映画ばかりを死ぬまで見続ける、廃版VHSビデオ・DVDコレクター。「一寸の駄作にも五分の魂」が口癖。

学校のY談(ジャケB).jpgおまけ:『学校のY談』は裏表ダブルジャケット。もう一つのジャケットがこちらです。

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