もやもやレビュー

中年に足りないのはお酒!お酒!お酒! 『アナザーラウンド』

アナザーラウンド(字幕版)
『アナザーラウンド(字幕版)』
マッツ・ミケルセン,トマス・ボー・ラーセン,マグナス・ミラン,ラース・ランゼ,トマス・ヴィンターベア
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ノルウェー人の精神科医フィン・スコルドゥール曰く「人間は0.05%血中アルコール濃度が足りない状態で生まれてきている」から、飲酒によって常に酔った状態を(ほどほどに)保つことで、人間に本来そなわる活力や自信を取り戻すことが出来、想像力がみなぎるというのである。

実在する人物と論説なのだが、これを劇中で試そうとするのが、マッツ・ミケルセン演じるマーティンら、4人の高校教師チーム(差はあるものの全員が中年)。

飲酒が心と言動に影響を及ぼす証拠を集めようと決起した彼らは、常に0.05のアルコール濃度で生活することを目標に、学校でも家でもこそこそと酒を摂取しはじめる。するとどうだろう。ミッドライフ・クライシス真っ只中だった4人に覇気が戻ってくるではないか。授業がつまらないと悪評判だったマーティンの歴史の授業ではユーモアが冴え渡り、生徒たちは盛り上がるのなんの。

しかし、人間とは調子に乗ってしまう生き物。心の弱さが露呈していく展開に胸がチクリとする。

実はマッツは、演劇の道に転向するまでプロのダンサーだったのだが、なんと今作で(おそらく初めて?)踊りを披露している。これがまた滅茶苦茶かっこいいのだ。

(文/峰典子)

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