どん底から抜け出せる日はきっと来る!『ミレニアム・マンボ』
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- スー・チー,ホウ・シャオシェン,スー・チー,ガオ・ジェ,トゥアン・ジュンハォ,チュー・ティエンウェン
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よくないとわかっていても、ずるずると続けてしまうことはある。夜中のカップ麺、1日に必要以上の卵を食べてしまうこと......。ミレニアム・イヤーを迎えた台北が舞台の映画『ミレニアム・マンボ』(2001年)の主人公、ヴィッキー(スー・チー)がやめられないでいることは、もう少し深刻。麻薬中毒で無職、独占欲は宇宙一ともいえる彼、ハオ(トゥアン・ジュンハオ)との関係だ。彼を理由に大学には進学せず、二人分の生活費を賄うためにホステスとして働いている。
本作はヴィッキーが10年前の自分を振り返っている設定で、当時のさまざまな記憶が断片的に写される。なぜか関係に終止符が打てない自分。包容力のあるヤクザ、ガオ(ガオ・ジェ)に惹かれていく自分。吸うタバコの本数と飲酒量だけがどんどん増えていく毎日。負のループを繰り返すヴィッキーを観ながら「がんばれ、抜け出すんだ!」といつの間にか応援役にまわっている自分に気づく。ところがある出会いをきっかけに北海道に遊びに行き、雪のなかで遊びながら屈託のない笑顔を見せる彼女を見ると、うまくいかなくてもどうにかなるかもと逆に励まされてしまう。決して明るい映画ではないのに、エンドロールが流れるころにはかすかな希望が見え、心がじんわりと温かくなる。
ちなみにヴィッキーは監督のホウ・シャオシェンが当時、夜を生きる台湾の若者の海から見つけ出した、実在する人物だそうだ。中国国民党が歴史上はじめて野党になった2000年から、台湾では若者の非行が目立つようになった。彼らの変わりゆく心情に触れてみたい、とらえてみたいという監督の思いがこの映画を作り上げたそうだ。
(文/鈴木未来)