もやもやレビュー

過去のトラウマを克服する物語『マーサ、あるいはマーシー・メイ』

マーサ、あるいはマーシー・メイ [Blu-ray]
『マーサ、あるいはマーシー・メイ [Blu-ray]』
エリザベス・オルセン,ジョン・ホークス,サラ・ポールソン,ヒュー・ダンシー,ショーン・ダーキン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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 マーベル・シネマティック・ユニバースで、スカーレット・ウィッチ役を演じたことでも知られるエリザベス・オルセン。そんな彼女の代表作の一つとして知られる『マーサ、あるいはマーシー・メイ』を今回はご紹介。本作でエリザベスはなんと、30の賞にノミネートされました。『フルハウス』のミシェル役で有名なオルセン姉妹の妹...というイメージが強かった彼女が、"実力派女優"としての力を見せつけた作品です。

 エリザベス演じるのは、マーサという名前の女の子。彼女は、カリスマ的なリーダー、パトリック率いるカルト教団で生活をしていました。この物語はマーサが教団から脱走するシーンから始まります。なんとか逃げ切ったマーサは、疎遠になっていた姉に連絡をとり、姉夫婦が住む家に滞在することに。その家はかなり広く、落ち着いた雰囲気で、滞在するにはぴったりの場所。しかし、マーサはカルト教団から逃げ切ったものの、不安と恐怖に悩まされ、いつか家に来てしまうのではないかと気が気でなりません。さらにマーサは、姉夫婦がセックスしている最中に、ベッドに一緒に入ろうとするなど、常識では考えられない行動をとり、姉を困惑させてしまうのです。

 この物語には劇的なエンディングが待ち構えているわけではありませんが、洗脳や過去のトラウマと向き合うことがどれだけ大変なのか、ということを時間をかけてゆっくりと私たちに教えてくれています。いくら周りが助けようとしても、自分が心を開かなければ、トラウマを克服することは不可能。そういった厳しいメッセージも込められているように思いました。結末は、観客の解釈によって異なるのも面白いポイントです。

(文/トキエス)

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