もやもやレビュー

少女の苦悩と再生の物語。 『バーバラと心の巨人』

バーバラと心の巨人(字幕版)
『バーバラと心の巨人(字幕版)』
マディソン・ウルフ,ゾーイ・サルダナ,イモージェン・プーツ,シドニー・ウェイド,ロリー・ジャクソン,アンダース・ウォルター
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うさ耳をつけた女の子が力強く描かれた表紙が印象に残っていた。原作は日系イラストレーター、ケン・ニイムラによるグラフィックノベル(コミック)の『I KILL GIANTS』。

「自分には巨人を倒す使命がある」と信じ、街や家族を守るために近隣に罠を仕掛け警戒する日々をおくる少女バーバラ(マディソン・ウルフ)。学校では変人扱いでいじめられ、学校のカウンセラーから執拗に呼び出されるも、本人はどこ吹く風。そんな彼女に、転校生のソフィアが友達になろうと声を掛けるも...。

全てを突っぱねるバーバラの演出がかなりのあいだ続き、果たしてファンタジーなのかホラーなのか主題が曖昧に描かれるため、ぐっと堪えながらの鑑賞。巨人との関係の本質に迫ってからは、バーバラが周りの力を借りながら孤独を乗り越えゆく姿に、ほろほろと胸が熱くなるのを感じられ、最後まで成長を見届けることができてよかった。この作品は間違いなくヒューマンドラマであった。

『ハリー・ポッターと賢者の石』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の監督として知られるクリス・コロンバスが『I KILL GIANTS』に惚れ込んだことからはじまったプロジェクトだという。監督は本作が初の長編監督作であるアンダース・ウォルター。

ヒロインのバーバラを演じたマディソン・ウルフは多感で突飛な少女を完璧に演じていて、ちょっとぼさっとしたヘアスタイルや大きめのメガネ姿が圧倒的にかわいい。これは変身するぞ、という伸び代いっぱい。別の作品も見てみたくなった。

(文/峰典子)

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