もやもやレビュー

独特な世界観に魅了される『戦慄の絆』

戦慄の絆 [Blu-ray]
『戦慄の絆 [Blu-ray]』
ジェレミー・アイアンズ,ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド,デヴィッド・クローネンバーグ
キングレコード
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 1988年に製作された心理サスペンス『戦慄の絆』。一卵性双生児の産婦人科医に起こった悲劇を描く本作は、冒頭から真っ赤なカラーが使われ、美しくも奇妙な世界観に引き込まれていきます。

 ジェレミー・アイアンズが演じる双子の兄弟エリオットとビヴァリー。"マントル兄弟"として有名な2人は産婦人科医として成功を収めていました。エリオットは社交的で、ビヴァリーは内向的。ヴィバリーは研究に熱心で、それをエリオットが学会で発表するなどお互いにない部分を支え合いながら生きていました。ある日、ビヴァリーのもとに女優のクレアが診察を受けにきます。赤ちゃんを授かりたいと相談しにきたクレアでしたが、彼女にはなんと子宮口が3つあり......この珍しい状況に、ビヴァリーはエリオットのもとへ相談しにいきます。エリオットはクレアに子供を授かることは困難であると宣告。悲しみに暮れたクレアでしたが、彼女は2人が双子であることを知らずに誘惑します。クレアと最初にキスをしたのはエリオットでしたが、ビヴァリーがクレアに惹かれていったことから、2人は双子であることを秘密にすることに。クレアとの関係が親密になるにつれ、クレアに依存していくビヴァリー。やがて精神的に崩れ落ちた時、エリオットにも大きな影響が出始めます。

 エリオットとビヴァリー、一人二役を務めたジェレミー・アイアンズ。本当に双子が存在するかのような見事な演じ分けに非常に惹きつけられました。IMDbによると、ジェレミーには当初、2つの別々の楽屋と衣装が用意されており、その時に演じていたキャラクターに応じて使い分けていたのだそう。しかし彼はすぐに「物語の要点には、どちらがどちらなのかという"混乱"が時々必要だ」と気づき、その後楽屋を一つにして、衣装を混ぜ合わせ、役作りをしたそうです。また、マントル兄弟は1975年に45歳で謎の死を遂げた実在の双子スチュワートとシリール・マーカスに基づいているそう。

 ちなみに、レイチェル・ワイズ主演で、ドラマシリーズ化も決定した本作。ドラマでは女性の双子が主役となっており、見比べるのも面白そう。

(文/トキエス)

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