幸せのヒント、ここにあり『アメリ』
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- ジャメル・ドゥブーズ,マチュー・カソヴィッツ,ヨランド・モロー,オドレイ・トトゥ,ジャン=ピエール・ジュネ
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ノームという小人の人形をご存知だろうか。とんがりコーンのような形の赤い帽子をかぶり、フサフサの白いヒゲを生やしたちっちゃなおじさんで(身長は大体30〜60センチ)、生息地は人さまの庭。草花に囲まれて過ごしている。なかには庭を飛び出し世界中を周り、観光名所とともに写真に写りこむ「旅するノーム」もいる。どう旅をするかというと、庭の主でない誰かに盗まれて、だそうだ。つまり立派な犯罪なのだが、50年も前から今に至るまで、何度もこの珍事件が起きているそうだ。いっときはノームを飾り物という役割から解き放ち自由にさせることを目的とする、やや奇妙な「ノームを自由にする会」もいたほど。
ノーム拉致事件(?)は映画でも発生している。作品は、とびっきりキュートなオドレイ・トトゥ主演のフランス映画『アメリ』(2001年)だ。ただトトゥ演じるアメリは単なるいたずらでノームを盗むのではない。アメリの母親が亡くなってからすっかり出不精になってしまった父親に旅の楽しさを味わってほしいという思いから、こっそり彼のノームを盗み、旅行者に授け、旅をさせるのだ。以降、アメリの父は観光名所と写る我がノームの写真が入った封筒を郵便配達員から受け取るようになる。
なぜこんなことをするかというと、アメリはある出来事をきっかけに人を幸せにする!と決めるからだ。自分を幸せにできるだろうか、周りを幸せにできるだろうか......そう嘆いていてはいけない。「幸せになる」「幸せにする」そうと決めたらとことん行動するだけのことなのだ。アメリは実に軽やかに、そう語りかけてくる。
(文/鈴木未来)