戦国時代を生きる働くママへ 『ケイト・レディが完璧な理由』

育児とは戦国時代。同じ境遇の女友達とコーヒーやビールで卓を囲むとき、もっぱら話題の中心は仕事と家庭、そして自分時間という三つ巴の行方についてである。あっちが尖ればこっちがへこむので、均等なトライアングルを描くことは難しい。しかし、お互いの奮闘ぶりを讃えあえば、次に会うときまでの糧となるのだ。

映画『ケイト・レディが完璧な理由』を見るとき、そんな女友達と会ったような気持ちになれる。公開は2011年。主人公ケイトを演じるサラ・ジェシカ・パーカーは、プライベートでも育児を始めたころで、悪戦苦闘する役がなかなかハマっている。

投資会社に勤めるファンドマネジャーが、仕事も育児も完璧にこなしたいと、日々やり繰りするのだが、そのあれこれに胸がつまされる。バザーに手作りの菓子をつくろうとするも、出張帰りの深夜に材料が手に入らない。市販のパイを崩して、偽の手製パイをもっていく。娘が毛じらみになれば、育児をさぼっているダメ親だとママ友たちに睨まれる。急な仕事の連続で子どもからは冷たい目線。ひー、空回り。

夫や親友、上司や部下、とバラエティに富んだキャラクター陣は考え方もさまざま。女性の生き方に答えはひとつでないとつくづく思わされる。働き育てる全ての女性が勇気をわけてもらえるはず。

（文／峰典子）