もやもやレビュー

観ている者を狂わせる?『バーニング 劇場版』

バーニング 劇場版(字幕版)
『バーニング 劇場版(字幕版)』
ユ・アイン,スティーブン・ユァン,チョン・ジョンソ,チョン・チャンオク,パン・ヘラ,イ・チャンドン
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ひとつの答えにしばられたくない人にとって刺激的であろう映画に『バーニング 劇場版』(2018年)がある。韓国を舞台にした本作はふたりの男性とひとりの女性をめぐる物語だ。

話は幼少期をともにした作家志望のジョンス(ユ・アイン)とフリーターのヘミ(チョン・ジョンソ)が偶然再会するところからはじまる。当時のジョンス少年はヘミのことを気にも留めなかったそうだが、自由奔放で不思議なオーラをまとう今の彼女には自然と惹かれていく。ところが出会ってすぐ彼女はアフリカ旅行に出発。帰国すると彼女のとなりにはもうひとりの男、ベン(スティーヴン・ユァン)がいた。ジョンスが彼女を常に待ち伏せしている犬だとしたら、ベンは謎に包まれた猫のようだ。ベンはなにやら裕福で、なにやら数々の女性用アクセサリーをトイレに隠された木箱に保管していて、なにやら趣味でビニールハウスを燃やしている。そうしてなにやらジョンスはヘミと二人きりではなくベンを含め三人でよく会うようになるのだが、ある日を境にヘミは音信不通になってしまう。ここからはヘミを必死に探し出そうとするジョンスを目で追いながら、その謎を探ることになる。

ヘミ、ジョンス、ベン。それぞれのどの行動を疑うかによって、違う結末が見えてくる。ヒントを探っているうちに、ある人の行動だけがやけに怪しく思えてくるが、絶対にこれだと言い切るようなシーンはない。むしろ、自分がその人のあらゆる行動に固執しているだけではないか。いろんな展開に想像をめぐらせられる一本である。

(文/鈴木未来)

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