ジョニー・デップが伝える日本の悲劇『MINAMATA ミナマタ』
- 『MINAMATA−ミナマタ−(字幕版)』
- ジョニー・デップ,真田広之,國村隼,美波,加瀬亮,浅野忠信,岩瀬晶子,ビル・ナイ,デヴィッド・ケスラー,アンドリュー・レヴィタス,ジョニー・デップ
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1950年代、熊本県水俣市で発生した水俣病。発生当時は原因不明の病とされており、手足が痺れ、話すことができないという症状が多くの人を襲いました。そんな恐ろしい公害による病気を、写真を通して世界に伝えたフォトグラファーのW・ユージン・スミスを描いた作品『MINAMATA ミナマタ』を今回はご紹介。本作でユージン・スミス役を演じたのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどで知られるジョニー・デップ。彼は本作でプロデューサーも務めています。
主人公は、第二次世界大戦中に数々の写真を撮影したことで有名になったフォトジャーナリストのユージン・スミス。しかし彼は社会から切り離され、キャリアも低迷していました。そんな彼のもとにアイリーンという女性が現れ、日本で起こっている水俣病についての写真を撮影してほしいと依頼します。ユージンはかつて作品を発表していたライフ誌の編集長ロバート・ヘイズのもとへ水俣病に関する資料を持参。そして、ロバートから極秘に依頼を受けたユージンは、アイリーンとともに日本に渡り、水俣で過ごすことになります。彼は、水俣病に苦しむ人々の姿や、チッソ株式会社の数十年にわたる重大な怠慢の実態、そして、チッソ株式会社や日本政府に認めてもらうために熱意ある運動を起こす住民たちを記録してきます。
IMDbによると、2021年9月の日本全国での公開に先立ち、8月に有志が主催する地元での上映会が企画されたのですが、熊本県水俣市は、後援団体として名前を貸すことを辞退したそうです。この理由について、朝日新聞の取材に対し、「映画が歴史的な出来事を正確に描き、患者への差別や偏見を払拭するのに資するかどうかが不明だった」としていました。また、本作で描かれているいくつかのシーンは事実と異なるということで反発も起きているようです。そんなたくさんの問題があった本作ですが、水俣病で苦しむ人がまだいることや、世界中で水俣病のような公害が起きていることを知るにはとても良い作品だと思いました。またユージン・スミスの作品で有名なのが「入浴する智子と母」。この作品を撮影するシーンも本作で描かれています。
(文/トキエス)