心が沈んだときはアリから元気をもらう『バグズ・ライフ』
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何をするにもうまくいかない......そんなときは、何も考えず『バグズ・ライフ』(1998)を見てみてほしい。イソップ物語の「アリとキリギリス」をもとに構想を立て、黒澤明監督の「七人の侍」から影響を受けた(!)というピクサー2作目は、体よりも草のほうが背が高く、雨粒がまるで爆弾のように落ちてくるアリ中心の世界で展開されていく。
主人公のフリックは生活をよりよくするために新しいものを発明する陽気なアリ(男)だが、いつも何かしらのトラブルを起こすことからあまり周りから信頼されていない。そんなフリックが、キリギリスたちのためにひと夏かけて集めた収穫を意図せず川に全部落っことしてしまうと、キリギリス集団のボスは激怒。冬までに二倍の量を用意しないとただではおかないぞといわれてしまう。二倍の量となると、自分たちが食べる分はどうすれば......そうアリたちが意気消沈しているとフリックはキリギリスを退治する昆虫を連れてくる!と提案。ところが連れてきたのは特に戦闘力は携えていないサーカスで働く昆虫集団......。
何をするにも若干失敗気味でなかなか味方もつかないフリックだが、諦めずに一度決めたことをやり抜こうとするからつい応援したくなってしまう。うまくいかなくても再び立ち上がる力が大事!クサいが、そう思ってしまう。
思いがけず心の栄養になる本作だが、キリギリスの天敵である鳥との戦闘シーンは夢中で見入ってしまうほどスリリングで、純粋に楽しんでいるともはや年齢を忘れてしまいそうになる。
(文/鈴木未来)