もやもやレビュー

名女優の怪演がトラウマ! 60年代傑作映画『何がジェーンに起こったか?』

何がジェーンに起こったか? [DVD]
『何がジェーンに起こったか? [DVD]』
ベティ・デイビス,ジョーン・クロフォード,ヴィクトロ・ブーノ,ロバート・オルドリッチ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
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 1962年に公開されたサイコホラー『何がジェーンに起こったか?』。主演のベディ・デイヴィスとジョーン・クロフォードが眉間にシワを寄せ、壊れた人形と一緒に映るパッケージがとても印象的な本作は、第35回アカデミー賞で5つの部門にノミネートされ、批評家からも高評価を得た傑作。お互いに嫉妬心を持つ姉妹の物語です。

 ベイビー・ジェーン・ハドソンは6歳の人気子役。自身をモデルにしたジェーン人形が発売され、舞台上では愛らしい姿で観客を楽しませていました。しかし、ジェーンはとてもわがままな女の子で、ステージ裏では父に「アイスクリームを早く食べたい」などワガママ放題。ジェーンの姉ブランチは、舞台で輝き、父から特別扱いされるジェーンに羨ましい気持ちを抱えていました。やがて大人になった姉妹。ブランチは演技を評価され実力派女優となり、一方でジェーンは大根役者だと言われてしまう存在に。しかしある日、ブランチは事故に遭い、下半身不随となり車椅子生活となってしまいます。報道では、「ジェーンが嫉妬心から彼女を轢き殺そうとした」とのこと。それを機に、表舞台から姿を消した2人。ジェーンがブランチの面倒を見ながら生活を送っていましたが、徐々にジェーンは自分も表舞台に立ちたいと思うようになり......。

 ジェーンの恐ろしいところ、それはかつての栄光に「これでもか!」というくらいしがみ付くところだと思います。新聞社に広告を持っていくシーンでは「私はベイビー・ジェーンよ」と言ったり、家に訪ねてきた男性にも「ベイビー・ジェーンをご存知?」と満面の笑みで尋ねたりするのです。そんなジェーンは、プライドも高すぎるのか、化粧も独特。まるで、顔を洗わずに、毎日化粧を塗り重ねているようなメイクにも恐怖を覚えます。ちなみにこのメイクは、ジェーンを演じたベティが自身の持つジェーンのイメージを再現するために自分でメイクを施したのだとか。そしてそのメイクは撮影時、原作者が想像していたジェーンと全く同じだったことで賞賛を受けたそうです。本作の裏話は他にも彼女の著書である「This N'That」で明かされているので、興味のある方はぜひそちらもチェックしてみては。

(文/トキエス)

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