もやもやレビュー

衝撃的でダークなプロポーズ大作戦『名も無き世界のエンドロール』

名も無き世界のエンドロール
『名も無き世界のエンドロール』
岩田剛典,新田真剣佑,山田杏奈,中村アン,石丸謙二郎,大友康平,柄本明,西条みつとし,佐藤祐市
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 第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫さんの同名小説が原作のサスペンス映画『名も無き世界のエンドロール』。劇場スクリーンでの活躍が目立つ若手俳優の岩田剛典と新田真剣佑、山田杏奈が出演する本作は、高嶺の花である存在に「プロポーズ大作戦」をするストーリー。一見、ロマンチックにも思えるこの物語の裏には、心にずしっと重くくる衝撃ストーリーが隠されていました。

 幼い頃から親のいない家庭で育ったキダ(岩田剛典)とマコト(新田真剣佑)。そんな2人の通う学校に、茶髪少女のヨッチ(山田杏奈)が転校してきました。3人はどんな時も一緒に過ごし、青春を謳歌。やがて大人になり、自動車修理工場にて働くキダとマコトのもとに、モデルのリサ(中村アン)がやってきます。彼女は無免許で高級車を乗り回し、犬を轢いてしまったそうで、「パパにバレるとやばい」と焦りながらも高飛車な態度をとります。そんなリサに強い興味を示したマコトは、その数日後に、なぜか工場から姿を消してしまいます。マコトは一体どこへ......彼の行方を探すために裏社会へと足を踏み入れたキダは、2年の月日を経てやっとマコトを発見。なんとマコトはリサに釣り合うために必死で働き、表社会での成功者になっていました。そんなマコトは念願のリサの彼氏になり、キダの協力のもとプロポーズ大作戦を決行します。

 マコトは小さな頃、「ドッキリ」が大好きないたずらっ子でした。とびきり明るい彼が考えるプロポーズ大作戦とあって、なんともロマンチックでサプライズなものになるのだろうと予想はつきますが、サプライズがまさかの衝撃的展開へ。ポイントとしては、本作はずっと不穏な空気が漂っているため、このプロポーズ大作戦は、幸せなものではないのか......?という疑いを観客がどうしても持ってしまうこと。さらに、至る所にエンドロールにつながるヒントがチラホラ。全ての伏線がうまく回収されたとき、驚きと共に涙が止まらなくなるストーリーでした。

(文/トキエス)

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