男性諸君!今宵は『20センチュリー・ウーマン』
- 『20 センチュリー・ウーマン [DVD]』
- アネット・ベニング,エル・ファニング,グレタ・ガーウィグ,ルーカス・ジェイド・ズマン,ビリー・クラダップ,マイク・ミルズ
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マイク・ミルズ監督は、彼が実際に出会ってきた人たちをベースに登場人物を作り上げることが多い。『人生はビギナーズ』(2010年)でクリストファー・プラマーが演じたお茶目なおじちゃんは、75歳にしてカミングアウトしたミルズの父親。最新作『カモン カモン』(2021年)の中心にいる自由奔放なジェシーくん(ウディ・ノーマン)は、自身の息子。
『20センチュリー・ウーマン』(2016年)で15歳の少年、ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)を支える3人の女性も、もちろんこの地を踏みしめてきた人たちがインスピレーション源だ。
たとえば自立心があるように見えていつもどことなく孤独そうに見えるママ、ドロシー(アネット・ベニング)は、ミルズの母親。同じ家に暮らすパンク好きなフェミニストのアビー(グレタ・ガーウィグ)はミルズの姉。夜中になるとジェイミーの部屋にこっそり忍びこみ、彼を友達扱いするジュリー(エル・ファニング)は、ミルズが10代の頃、仲のよかった女の子たちをぎゅっとひとりに凝縮した人物だという。
本作は、ミルズいわく「女という生き物とは」「女性に対してどんな男でありたいか」を彼に教えてくれた女性たちに、敬意を込めてつくられた作品。女性のことを男性が語るには限度があるという思いから、自分の姉をはじめ、まわりの女性にたくさん話を聞き、台本への意見を求めたというミルズの姿勢には、思わずスタンディングオベーションを送りたくなる。女性に対していい男であるにはどうすればいいのだろう。こんな壮大な疑問にひとかじりするには、ぴったりの1本な気がする。
(文/鈴木未来)