1日1日を大切にしたくなる。『君が落とした青空』

大人気携帯小説の映画化作品。櫻いいよ原作で、2010年に公開されてから現在までに600万回以上の閲覧数を記録している。

付き合いだして2年が経とうとしているカップル実結（福本莉子）と修弥（松田元太）は毎月1日は映画を観に行く約束をしていた。しかし、修弥は突然急用が出来たとデートをドタキャンし気まづい空気になってしまう。弁解のため修弥が実結を呼び出すがそこで交通事故にあって...。実結が目覚めるとまた同じ日が繰り返されていた。
実結は未来を変えようと奔走し、そこで修弥の隠していた事実が少しずつ明らかになる。

ティーン向けの作品としては、メッセージ性もありフレッシュな俳優陣の好演が光る最高の作品だったと思う。
ヒロインの福本莉子は浜辺美波や上白石萌音、上白石萌歌などを輩出した東宝シンデレラオーディションでグランプリを獲得している今大注目の女優であり、今後の活躍に期待が高まる。
修弥を演じた松田元太もジャニーズJr.の人気グループTravis Japanのメンバーということで、今後テレビで見かける機会も増えてきそうだ。

ただ、大人になってしまった自分が観ると、青春映画の内容の薄さにやや物足りなさを感じるようになってしまった。その事実に切なさを感じつつも、青春を謳歌してね！と親が子供に見せるにも、きわどいシーンが一切ないので気軽に見やすいという点で激推ししたい。

彼氏のことは好きだけど、嫌われたくないし喧嘩もしたくないと消極的で自分の本心に蓋をしているヒロイン。けれど、タイムリープをきっかけに見える世界が少しずつ変わり、好転していくのはみていて気持ちよかった。
たまに映る青空が綺麗で実結の気持ちとリンクしていることがよくわかった。
いつも青空のように澄みきった気持ちではいられないかもしれないけれど、雨の日にあったことも大切に出来たらまた青空の日もやってくる。確かに人生と空模様は似ている。天気は自分の力では変えられないけど、人生は自分の一挙一動で変えられることもあるんだよ。そんな作品の持つメッセージ性がとても素敵だった。

（文／杉本結）