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誰が悪者? 密室シチュエーションホラー『ザ・デア-理由なき監禁―』

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 目覚めたら見知らぬ部屋で監禁させられている......このような密室シチュエーションは『ソウ』をはじめ、さまざまなホラー映画で使われています。「ありがち」と言われるようにもなったそのシチュエーションに、容赦ない残虐な描写と残酷すぎる人間ドラマを盛り込んだ映画『ザ・デア-理由なき監禁―(原題:The Dare)』を今回はご紹介。邦題には「理由なき監禁」とありますが、物語の核となる理由がちゃんとあります。

 家族と自宅で幸せな時間を過ごしていたジェイは、何者かに襲撃され拉致されてしまいます。目が覚めるとそこは密室で、手錠がかけられていました。部屋の隅にはそれぞれ自分と同じように鎖に繋がれた男女がおり、そのなかの1人は何と傷だらけで口が縫い合わされ、瀕死状態。パニックになるジェイに対し、女が「ここはあいつの遊び場よ」と告げるのです。やがて豚の皮を被った大男が現れ、無差別に監禁された男女に拷問を与えていくのです。一方、ある農夫にドミニクという少年が拉致され監禁されていました。「俺が新しい父親だ」と言い聞かされたドミニクはその農夫の「両親に捨てられた」「誰からも愛されない」という言葉を巧みに使った"洗脳"と、彼の歪んだ愛情から逃げ出せられずにいたのでした。

 物語は、ジェイが監禁されている部屋と、農夫がドミニクを監禁している山小屋の2つのストーリーで構成されており、この物語の接点が見えたところであっと驚くサプライズが待ち受けています。映画の8割はゴアグロで、虫を食べさせられたり、皮膚を剥がされたりと見るに耐えないシーンが多いものの、この部屋に監禁されている男女の関係性が徐々に物語を面白くさせていきます。果たして登場人物の誰が一体"真の悪者"なのか......それは自身の感情移入するキャラによっても変わってくると思うので、そこも興味深いポイントです。ぜひグロに耐えられる方はチャレンジしてみてください。

(文/トキエス)

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