残酷かつ華麗な復讐劇『プロミシング・ヤング・ウーマン』

　キャリー・マリガンが主演を務めた『プロミシング・ヤング・ウーマン』。本作で彼女は、アカデミー賞やゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされたことでも話題になりました。女性が見ると心がつらくなるような衝撃的なトピックをテーマにしている本作ですが、深く考えさせられる部分もありました。

　医者になる夢を持っていたキャシー（キャリー・マリガン）。彼女はある事件をきっかけに大学の医学部を辞め、カフェの店員として働いていました。そんな彼女、夜には"別の顔"を持っているのです。なんと、バーで泥酔したフリをして、お持ち帰りしようとするオトコに制裁を加えていました。なぜ彼女は、女性を性の捌け口とするオトコに復讐しているのか......目的は一体何？と観客を惹きつけたところで、キャシーがかつての同級生のライアンと再会。2人はデートを始めますが、その一方でキャシーは過去に起きた出来事に対する復讐のために動き出します。

　タイトルの『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、"将来を約束された若い女性"という意味が込められているそうで、将来有望だったキャシーが復讐心に駆られて落ちていく姿や、周りの残酷だけど現実世界でよくある"反応"や"対応"が描かれています。中盤にある、キャシーが復讐心を忘れ、普通の生活を取り戻そうとするシーンもかなり印象的。自分の大切なものを失った時に、復讐心に心を蝕まれずに、幸せに暮らせる人ってどのくらいいるのだろう......そんなことを考えさせられた一本でした。また最後のどんでん返しにも注目。残酷でショッキングな内容ですが、"華麗"とも呼べる復讐劇は必見です。

（文／トキエス）