そんなに怖くない......でも怖い『ザ・プラマー/恐怖の訪問者』
- 『ザ・プラマー/恐怖の訪問者(字幕版)』
- ジュディ・モリス,アイヴァー・カンツ,ロバート・コールビー,ピーター・ウィアー,マット・キャロル
- >> Amazon.co.jp
「恐怖の訪問者」と聞くと誰かがハンマーで叩き殺される様子を想像するかもしれないが、『ザ・プラマー/恐怖の訪問者』(1979年)はジワジワと不安を湧き起こす、もっと静かなホラーだ。
話の中心にいるのは自宅で人類学の研究をするジル(ジュディ・モリス)。大学教授の夫、ブライアン(ロバート・コールビー)と新居に越して来たばかりで、新生活に慣れている途中。
平凡そうな二人の生活に、ある日ピンポーンと呼んだ覚えのない配管工の男性(アイヴァー・カンツ)が割り込んでくる。「ビル全体の点検なんですよ、聞いていませんでしたか」そういわれてジルは彼を浴室に通すことに。ところがぴたりと閉まった扉の向こう側からは、誰かが奇声を上げながらシャワーを浴びている音がする。のっけから奇妙すぎる配管工。数分後浴室から出てくると、大変なことになっているので明日も来るという(もう来ないでと言いたい)。そこからは毎日のように夫妻の自宅を訪ね、直すと言うシャワールームはなぜかどんどん破壊されていく。これだけでもホラーなのに、配管工はいちいち不安を煽る言動をとるものだからジルはもう正気を失う寸前。
単なる配管工の嫌がらせなのか。それとも鈍腕な配管工にジルは頭を悩ませすぎなのか。誰の味方になるべきか、だんだんとわからなくなってくる。心凍てつくシュールすぎるラストは、脳裏に焼きつくこと間違いなし!
(文/鈴木未来)