もやもやレビュー

過去の思い出に浸る『ちょっと思い出しただけ』

『ちょっと思い出しただけ』 2022年2月11日(金・祝)全国公開

今回紹介する『ちょっと思い出しただけ』は、東京国際映画祭(2021)で観客賞を受賞した作品です。
怪我でダンサーを諦めた照生(池松壮亮)と、タクシードライバーの葉(伊藤沙莉)の淡い恋の記憶。7月26日という2人にとっての特別だった1日。もう別れてしまった2人の、6年分の7月26日を遡っていく。

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松居大悟監督お得意の(?)時系列が行き交いながら一つのカップルを見守るような作品になっている。監督の過去作『アズミ・ハルコは行方不明』と同じ手法で、時系列を組み換えて作品を作っているように感じた。
時系列の入れ替わりに最初こそ少し混乱するけれど、最後までみれば時系列が入れ替わっていたからこそラストの展開にしんみりと浸れる。とてもうまい、意味のあるストーリー構成となっていた。コロナ禍の世の中もリアルに劇中には存在し起こってしまったことはもう元には戻れないということがヒシヒシと伝わってきた。作品の雰囲気は『ワン・デイ 23年のラブストーリー』を思い起こさせて、2人の終着点がどこなのかラストまで釘付けとなった。

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この作品がうまいのは題名でも提示されている「思い出す」ということ。過去に起こってしまったことをちょっと思い出している話なので、過去は変えられないしもうどうすることもできない地点にいるという現実がそこにはある。それでも、あの時ああしていれば、こうしていればと後悔してもしきれないような切ない気分になる。きっと誰にでもある、ふとした時に思い出す過去の同じ日にあんな事してたなという記憶。

最近では、昔書いたFacebookの記録から何年前の同日はどんなことをしていたのかを見られる機能がある。当時、こまめに書いていたおかげで毎日のようにあがってくるが、10年前に一緒にいたのは? 誰にでもある、そんな懐かしくも切ない記憶がふとよみがえる瞬間をうまく切り取ったような作品だった。

(文/杉本結)

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『ちょっと思い出しただけ』
2022年2月11日(金・祝)全国公開

監督・脚本:松居大悟
出演:池松壮亮、伊藤沙莉 ほか
配給:東京テアトル

2022/日本映画/115分
公式サイト:https://choiomo.com
©︎2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会

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