もやもやレビュー

相手に依存した恋愛の行く末が切ない『愛がなんだ』

愛がなんだ
『愛がなんだ』
岸井ゆきの,成田凌,深川麻衣,若葉竜也,穂志もえか,中島歩,片岡礼子,筒井真理子,江口のりこ,今泉力哉,澤井香織,今泉力哉,「愛がなんだ」製作委員会,成宏基,前原美野里,福嶋更一郎,村田亮,新村裕
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恋愛体質な女性が苦手です。相手にどハマりして、他の予定なんてどうでも良くなる。自分の人生は二の次で好きな人を優先する。そんな女性に苦手意識を持ってしまうのは、自分にはない「死ぬほど人を好きになれる」というある種の能力を、どこか羨ましく感じてしまっているからなのかも。映画『愛がなんだ』は、成田凌演じる"マモちゃん"にどハマりする"テルちゃん"のお話。このテルちゃんを演じている岸井ゆきのの演技もリアルで、苦手女子のはずなのに、なんだか感情移入してしまいました。

 とある結婚式の二次会でマモル(成田凌)と出会ったテルコ(岸井ゆきの)。お互いその場に馴染めない同士で仲良くなったことをきっかけに、テルコはマモルにどんどんハマっていきます。マモルに呼び出されたらいつでも行けるように会社にも長居して、夜中の急な呼び出しにも二つ返事で飛んでいく。一方、マモルはテルコのことを苗字で呼び、自分の用が終わったら夜中に彼女をアパートから追い出すほど"恋愛感情"を抱いていない。そんな中、テルコがマモルの部屋にお泊まりしたことをきっかけに関係が急接近。テルコのテンションは上がりますが、一方で衛からの連絡が突然なくなってしまい......。

 仕事中にも携帯が常に気になり、連絡がないか定期的にチェックする。仕事に集中できるわけでもなく、ミスを連発するテルコ。それでも彼女は、マモルとの将来を夢見て、彼に尽くしまくるのです。しかしそれを冷ややかな目で見るマモル。テルコのマモルへの気遣いや彼女の頑張り具合を見ていると、いつしか「もうカップルになってほしい」と願ってしまう。それほど、マモルが都合よくテルコを使っている姿が腹立たしく感じてしまいます。しかし、これはとってもリアルなお話。自分を好きになってくれる人にどうしても甘えてしまう人って結構たくさんいると思います。マモルもそのうちの1人。無意識で甘えているのです。タイトル通り愛ってなんなのか深く考えさせられる一本。このリアルな恋愛模様を観賞後は、あなたの中での"愛"の定義が少し変わるのかもしれません。

(文/トキエス)

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