もやもやレビュー

現金がないってこんなに大変『アフター・アワーズ』

アフター・アワーズ (字幕版)
『アフター・アワーズ (字幕版)』
グリフィン・ダン,ロザンナ・アークェット,テリー・ガー,バーナ・ブルーム,リンダ・フィオレンティーノ,マーティン・スコセッシ,エイミー・ロビンソン,グリフィン・ダン,ロバート・F・コールスベリー,ジョセフ・ミニオン
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「財布を忘れた」「現金が足りない」そんなことで冷や汗をかかずに済む時代になってきた。何せいまやスマホをピッとかざすだけで改札機を通り抜けることもできれば、食後のお会計だってスマホ一つでできてしまう。

でも40年ほど前だと話は違う。マーティン・スコセッシ監督の『アフター・アワーズ』(1985年)には、スマホがあったら成立しないであろう話が描かれている。

設定はすっかり静まり返った夜のニューヨーク。主人公のポール(グリフィン・ダン)はたまたまカフェで出会った女性(ロザンナ・アークエット)の家に誘われ、胸を弾ませながらタクシーに乗り込む。このとき運転手があまりにもワイルドな運転をするので、財布から抜き取った20ドルが窓から飛ばされ、彼の所持金は1ドルとちょっと(全部小銭)になる。女性とうまくいけばそんな金銭事情はどうにかなりそうだが、彼女も、彼女の家の様子も、なんだかおかしい。さっさと帰ろうと駅に駆け込むが、小銭が足りず電車に乗れない。帰れないと決定したこの瞬間から、アンラッキーな出来事が次から次へとポールを目掛けて押し寄せてくる。

この映画が仮に現代のものだったら、ポールはスマホで改札機を通過し、無事ベッドに潜り込めていたかもしれない。ポールには悪いけれど、そんな展開はおもしろくない。スマホ、ATM、40年前の当たり前じゃなくてありがとう!鑑賞後にはそう思ってしまう可能性あり。

(文/鈴木未来)

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