もやもやレビュー

仲間に入れて!と言いたくなる『グッバイ、サマー』

グッバイ、サマー [DVD]
『グッバイ、サマー [DVD]』
アンジュ・ダルジャン,テオフィル・バケ,オドレイ・トトゥ,ミシェル・ゴンドリー
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周りと馴染めないことに悩む人は少なくないかもしれない。でも裏を返せばあまり多くの人と馴染めないからこそ、馬が合う人を一瞬にして嗅ぎつける、ともいえる。ミシェル・ゴンドリー監督の『グッバイ、サマー』(2015年)に出てくる少年二人も、うまく溶け込めないタイプ。まず芸術的才能に恵まれたダニエル(アンジュ・ダルジャン)は、周りに「ミクロ(=チビ)」と呼ばれ男女ともに相手にされていない。次に廃機材からDIY作品を作り上げちゃうテオ(テオフィル・バケ)は、エンジンやらマイクやらがついた進化系自転車を乗り回しているからかヘンテコ扱い。「なんか空気が似ているぞ......」そうお互いが感じてつるみはじめるのは、あまりにも自然で一瞬のこと。すっかり仲良しになった二人は、DIY好きなテオの提案「自分たちで車を作って旅に出よう!」をきっかけに、大冒険に出ることとなる。

でも気の合う仲間を見つけたからといって楽しいことだらけかというと、そうとも限らない。二人だけの世界を一歩はみ出ると、テオには冷酷な父親がいたり、ダニエルにはまともに友達と呼べる子がいなかったり......やり場のない虚しさが待っている。二人の冒険はその虚しさを埋めるため、気持ちを解放するためにあるようにも思える。時折心がきゅっと締め付けられながらも、友達って無敵にしてくれる存在だな(あるいはそんな友達がほしいな)とほっこりもする、とびっきりキュートなロードムービーだ。

(文/鈴木未来)

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