もやもやレビュー

『火花』で見た、芸人の根性と青春

火花
『火花』
菅田将暉,桐谷健太,木村文乃,川谷修士,三浦誠己,板尾創路,板尾創路,豊田利晃
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 お笑いコンビ、ピースの又吉直樹の小説「火花」。私にとって芸人とは、いつもテレビやライブで笑わせてくれる面白い人たちという存在。そんな彼らに焦点を当てた本作、第153回芥川賞受賞で話題になった時は一体どんな奥深いストーリーになっているのだろうと、興味津々でした。この小説が板尾創路監督で映画化。主演は、菅田将暉と桐谷健太が務めています。

 売れない芸人、徳永(菅田将暉)は、営業先の熱海で同じ舞台に立った先輩芸人の神谷(桐谷健太)と知り合います。ヤンキーたちに絡まれても、堂々と舞台に立つ神谷の姿を見た徳永は、彼に弟子入りを志願。神谷は、自身の伝記を書いてもらうということを条件に、徳永を受け入れます。2人の自然と繰り出す会話はまさに漫才。そんな相性抜群の2人でしたが、月日が経つにつれ、お互いの"笑い"に対する意識の違いが見え始めます。

 テレビでよく芸人たちが「売れなかった時のおもしろエピソード」をしているなんて光景はよく見かけますよね。私もただただそれを「おもしろい!」と笑いながら見ていたのですが、その売れない時代には、笑えるエピソードをはるかに超える苦労があるのだなと気付かされました。ネタを批評されても挫けない芸人の根性や、「売れたいな!」と酒を交わしながら叫ぶ、青春。そんなシーンが盛りだくさんの本作を見ると、テレビや劇場で、笑いを生み出している"芸人"と言う存在が、とてつもない戦士のようにも見えてきます。彼らの根性や苦労、そして何より「笑いが好き」と言う気持ちがなければ、世の中はきっともっと暗かっただろう。芸人さんと言う存在がこの世界に必要なのだと改めて感じさせられた一本でした。笑あり涙ありの本作で、お笑いがもっと好きになります。

(文/トキエス)

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