もやもやレビュー

冷酷無残な世の中を映し出す『テロ, ライブ』

テロ, ライブ [DVD]
『テロ, ライブ [DVD]』
ハ・ジョンウ,イ・ギョンヨン,チョン・ヘジン,イ・デビッド,キム・ソジン,キム・ホンパ,キム・ビョンウ
TCエンタテインメント
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 韓国発、2013年のリアルタイム型サスペンス『テロ, ライブ』。『チェイサー』などで知られる韓国を代表する俳優の1人、ハ・ジョンウがテロリストの電話を受け取るニュースキャスター役を熱演している本作は、世の中ってこんなに冷酷無残だったのか......と心が痛くなった一本でした。

 あることがきっかけで、テレビのキャスターからラジオパーソナリティーに降格した元人気キャスターのユンは、ラジオの生放送中にあるリスナーからの電話を受け取ります。話が長く面倒に思ったユンが途中で電話を切ったのにも関わらず、回線が繋がったままでラジオ局の方から切ることができない。そんな不思議な状況に陥った直後、そのリスナーから麻浦大橋を爆破するという予告をされてしまいます。イタズラだと思ったユンは「やれるものならやってみろ」と挑発。すると、予告どおりに爆発事件が発生してしまいます。相手が正真正銘のテロリストだと知ったユンは、放送局トップへと連絡。犯人との通話を独占で生中継することに。最初は、キャスターに復帰するチャンスになるかもと意気込み生中継を開始したユンでしたが、自分の耳につけられたイヤホンにも爆弾が仕掛けられていることを知り......。

 生中継で全局がこのニュースを取り上げている中、ユンはなんとか犯人の情報を聞き出します。犯人の要求は、過去の麻浦大橋で起きたある事件に対する大統領からの"謝罪"。しかし、政府の対応は遅く、その間にテレビ局のトップから、無茶な要求をされてしまうユン。気づけば彼を取り巻く環境はとても過酷で、周りの人間も非情すぎる。やっぱり上に立つ人間はここまで汚いのか......と心がずっしり重くなると同時に、犯人の真相を知っていくと、なんだか犯人にも感情移入してしまうストーリーでした。生中継でテレビに死体がバンバン映る描写はなんだか不自然にも感じましたが、ストーリーが二転三転し、スリル満点でした。

(文/トキエス)

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