もやもやレビュー

断ってばかりの生活に違和感を覚えたら『イエスマン』

イエスマン
『イエスマン "YES"は人生のパスワード (字幕版)』
ジム・キャリー,ゾーイ・デシャネル,ブラッドリー・クーパー,ジョン・マイケル・ヒギンス,テレンス・スタンプ,リス・ダービー,ダニー・マスターソン,ペイトン・リード,リチャード・D・ザナック,デイビッド・ヘイマン
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人付き合いや、新しいチャレンジを億劫に感じることは誰にでもある。でもあまりの億劫さから断ることがクセになると、いよいよ全てがだらけモードになる。このままでいいのか、自分。少しでもそう感じるのなら、とりあえず『イエスマン』(2008年)を再生するといい。

本作の主人公、カール(ジム・キャリー)も、一種の「断ってばかり人間」である。彼の場合、離婚をしてから断るクセがますます悪化していた。ところが「『イエス』という言葉が人生を変えた」という少々カルト臭がする友達との再会をきっかけに、カールは「何ごとにもイエスと言う」と約束してしまう。それからはスパムにしか見えない「ペルシア人の妻を見つけようドットコム」に申し込むなど、そんなバカな!と思うことにまで「イエス」というハメになるものの、代わり映えのない生活はみるみると鮮やかになり、彼自身、とても生き生きとしてくる。

あまりのハッピーな展開なだけに「でも、映画だしね」と片付けてしまいたくなるけれど、このストーリーは一年間イエスと言い続けた、ある男性の実体験に基づいている。イエスで埋め尽くされた一年はどうだったのか。実話の結末は、映画と同名の著書で読むことができる。映画や誰かの実話はさておき、自分の人生の展開にも注目してあげたい。「次に何かしらの機会が降って来たら、イエスと言おう」鑑賞後にそう思えたら、ひらけてくる世界もあるのかもしれない。

(文/鈴木未来)

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