超異常現象の実験中に被験者と恋に落ちたら。『テスター・ルーム』

　1970年代のイギリスを舞台に、超異常現象を研究する大学教授とそのチームが体験する恐怖を描いたサスペンススリラー『テスター・ルーム』。本編冒頭では「実話から着想を得て作られた」と表示されますが、実話と考えたらとっても恐ろしい世界が本作には広がっていました。

　オックスフォード大学で、超常現象について独自の説を持っているクープランド教授（ジャレッド・ハリス）の授業が行われていました。彼の自説は「異常現象の全てが、人のネガティブな感情から来ている」というもの。教授は「一人を治すことができれば、人類を治すことができる」と、精神不安定な被験者の少女ジェーン（オリビア・クック）に実験を行うことに。そこで記録係として、カメラが好きで無口な青年ブライアン（サム・クラフリン）が参加。テレビも電話もない孤立した屋敷で実験が行われていくのですが、次第に不可解な現象に巻き込まれていきます。

　ブライアンは記録していくうちに、被験者のジェーンに好意を持ち始めます。ジェーンは、大人しくかわいらしい一面もあれば、「イーヴィ」という何者かに取り憑かれ、人格が変わる時もある。そんな彼女をなんとか救い出そうとするブライアンは、正義感を持ち、自発的に行動するようになります。しかし、そんな彼には思いもよらぬ結末が待ち受けていたのでした......。レトロなカメラで撮影されたドキュメンタリー風の映像は、画質が悪いからこそ超常現象がより不気味に記録されていておもしろい。その不気味な映像の数々とともに、最後の衝撃的な結末が楽しめる一本。果たしてブライアンとジェーンは結ばれるのか...？ 奇妙な恋模様にも注目してみてください。

（文／トキエス）