ローカル紙の記者チームが暴いた大スクープ 『スポットライト 世紀のスクープ』
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約40億ドル。この巨額、一体なにかというと、米全土で支払われてきたカトリック教会による性的被害者の損害賠償額である。「スポットライト 世紀のスクープ」は、神父たちによる性的虐待を、教会の組織ぐるみで隠蔽していたという大スキャンダルを、新聞記者たちが暴いた実話に基づく社会派ドラマである。
舞台はボストン・グローブというローカル紙。ここに2001年7月、新編集長が赴任する。彼が最初に行ったのは過去のコラムの掘り起こし。ひとりの神父が30年もの間、多くの児童に性的虐待を加えていたという疑惑が、小さなコラムでしか扱われていないことに疑問を感じ、特集記事を扱うチーム4人に追究を指示。
記者たちは緊張の中で真相に迫っていく。というのも、2000年ほどの歴史があるカトリック教会は、国王をしのぐ権力を持っており、役員や現場の責任者たちも渋い顔を見せる。さらにボストンはカトリック教徒が多く暮らす保守的な街、この記事を取り上げるのは、教会や住民を敵に回すも等しい行為なのだ。
ジグソーパズルのかけらが一個、また一個とはまるように事件の姿が見えてくる。そして、この事件を口火に組織は崩壊の兆しを見せる。閉鎖的な体質を持つ教会の大罪が明らかになったのである。見るに堪えないようなトピック、しかし真実と向き合う勇気と力強さを分けてもらえる。
(文/峰典子)