もやもやレビュー

新人捜査官とハンターが手を組み事件を追う『ウインド・リバー』

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ジェレミー・レナー,エリザベス・オルセン,ジョン・バーンサル,テイラー・シェリダン
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荒れ狂う自然と剥き出しの暴力。ネイティブ・アメリカンの村社会の闇。片田舎ならではの葛藤や、行き場のない怒りの描かれ方は『スリー・ビルボード』にも通じるものがある。

『ボーダーライン』『最後の追跡』で、アメリカの辺境を舞台に現実をあぶりだし、2年連続アカデミー賞にノミネートされた脚本家テイラー・シェリダンが、前2作に続いて辺境の地で起こる事件を自らのオリジナル脚本をもとに描いたのが、クライムサスペンス『ウインド・リバー』である。

舞台は先住民が追いやられた雪深い土地、ウインド・リバー。そこで発見された若い女性の遺体。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるものの、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は行き詰まる(地元住民にアウターやブーツを借りる始末)。遺体の第一発見者であるベテランハンター、コリー・ランバートに協力を求め、共に事件の真相を追うことに......。

ピントを合わすべき中核は、事件解決でなく警察の歪さだろう。失踪者を把握していないという事実と、それを放置している現状。これは警察機構がアメリカの闇とも言われる所以である。硬派なテーマではあるが、物語そのものはシンプルな脚本に仕上がっている。事件の概要はラスト付近に明かされ、きちんと結末も締まる。爽快にとは言えない内容だが、観て良かったと思える映画。

(文/峰典子)

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