もやもやレビュー

元バンドマンの父と利発な娘がセッションしたら!? 『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』

ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた (字幕版)
『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた (字幕版)』
ニック・オファーマン,カーシー・クレモンズ,テッド・ダンソン,サッシャ・レイン,トニ・コレット,ブライス・ダナー,Brett Haley,Sam Bisbee,Houston King,Sam Slater
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

夢を追うために、必ず何かを諦めなきゃいけない。何かにつけて現実的になってしまう若者に、そんなことはないんだよ、好きなことを諦めなくていいし、欲張りになってもいいんだ、とやさしく語りかけてくれる、そんな映画である。

ニューヨーク、ブルックリンの海辺の小さな街レッドフック。レコードショップを営んでいる、元バンドマンでシングルファーザーのフランク。LAの医大行きが決まった娘の学費のことを考え、赤字続きの店は閉店することに決まっている。そんな夜、フランクは勉強中のサムをセッションに誘う。書きかけの歌詞を引っ張り出し、夜通し盛り上がった二人。娘の才能に驚いた彼は、Spotifyに楽曲をアップロード。

フランクにしてみたら、愛娘とのセッションなんて夢のようだろう。新しい扉が開かれ浮かれた気分になるが、サムにしてみたら「We're not a band!」。出会ったばかりの恋人との関係や医学部への進学など、向き合わなければならない問題が山積み。父親と音楽を始めるなんて無謀な冒険に思えた(ま、そう思うのもやむなし)。

そんな中、夏も終わりに近付く。サムも大学を直前に決断を迫られることに......。夢の追い方や悩み方は浮世離れしすぎず、地に足がついた脚本。老いも若きも日常に感じられるはず。滲みるサントラもオススメ。

(文/峰典子)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOK STANDプレミアム