もやもやレビュー

最後には、愛が勝つ?『ビッグ・ダディ』

ビッグ・ダディ
『ビッグ・ダディ』
アダム・サンドラー,ジョーイ・ローレン・アダムズ,ジョン・スチュワート,ロブ・シュナイダー,コール&ディラン・スプラウス,コール&ディラン・スプラウス,レスリー・マン,デニス・デューガン,Sid Ganis,Jack Giarraputo
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

朝目覚めたらいきなり父親になっていた、という話は、そこまで頻繁に聞かないだろう。『ビッグ・ダディ』(1999年)は、主人公のソニー(アダム・サンドラー)が、ある日突然、自分の家の前に現れた幼い男の子の父親になる、という話である。

もう少し噛み砕くと、ジュリアン(コールとディラン・スプラウス)と名乗る少年は、ソニーのルームメイト、ケヴィン(ジョン・スチュワート)が知らずに作っていた子供らしい。それを知ったソニーは、出張に出かけたケヴィンに急いで電話をし、母親の名前を伝えてみるが、ピンときていない。最終的にソニーは「なんとかしておく」とケヴィンに伝えておきながら、途中からジュリアンを自分の子供にしてしまう。立派な犯罪なのだが、ソニーとジュリアンの生活は、ものすごく楽しそう。遊び相手には最高なソニーだけれど、彼に父親役は務まるのか......?怪しい点として、ソニーの清潔感に対する関心のなさが挙げられる。

たとえばある朝、ジュリアンがソニーのベッドまでやってきて、「おねしょしちゃった」と言うシーンがある。ソニーの対処法は、濡れた部分に床から拾った新聞紙をかぶせること。しまいにはジュリアンをその新聞紙の上に乗っけて、「もう少し寝ときな」と言っている。新聞紙が掃除に役立つことはよく聞くけれど、こういう使い方はあまり見たことがない。

でも、あっという間に強い絆で結ばれた二人を見ていると、不潔だったって、血縁関係でなくたって、愛情が十分あればそれはそれでいいのではないか、とも思えてくる。気楽に、心温まる映画が観たいときにはぴったりの一本である。

(文/鈴木未来)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム