もやもやレビュー

既存サメ映画の焼き直し&オマージュ『シャーク・ショック』

シャーク・ショック(字幕版)
『シャーク・ショック(字幕版)』
タラ・リード,トーマス・イアン・ニコラス,クリント・ジェイムス,グリフ・ファースト
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 川で電線を齧ったサメが電気サメになって人々を襲うという、脳が溶けそうな地雷サメ映画が本作だ。どう見てもホオジロザメなのに川を泳いでいるし、電線を齧って電気ウナギならぬ電気サメになる原理は謎だし、大体電気サメである理由が作中でほぼないという安定の酷さ。これを日本で配給して何人が視聴したのか不思議で仕方がない。

 河川沿いの低所得者用居住エリアの住人が家賃滞納を繰り返すことに腹を立てたオーナーが、自然災害に見せかけ住民を退去させようと部下に堤防を破壊させ、そこに紛れ込んだサメが偶然電線を齧ることで電気サメに。サメと出会った住民たちは即座に感電し、餌食となる――という内容。
 あらすじでは感電させて捕食するかのように書かれているが、基本的には突然襲って捕食するシーンも多々あり設定が意味をなしていない。住民たちはサメをつるし上げて放電させようとして成功するが、いつからサメは陸上でも呼吸できるようになったのか。もっとも今日のサメは浜辺どころか雪上でさえ泳ぐのでそんな疑問は何の意味もなさないが。取り合えず既存のサメ映画の焼き直しを観ているような気分になる。おまけにサメは途中退席して終盤はオーナーと住民のバトルになってしまっている。84分も尺は要らないだろう、これは。
 大体、ロケ地もほかのサメ映画で見たことのある場所がチラホラ。サメ映画にもAVにおける「例のプール」のような撮影場所でもあるのだろうか。

 観るべき点が極めて少ないサメ映画という地雷ジャンルではあるが、本作は上記の理由から輪をかけて視聴に耐えうる場面が少ない。『シャークネード』シリーズの出演者が作品に絡んだ台詞を述べたり『ジョーズ』の小ネタなど他のサメ映画ネタを散りばめているので、サメ映画を好んで視聴する人間には笑うべき箇所がないでもない。ただ、作品自体が既存のサメ映画の劣化コピーのようなものなので、シャレとの境界線は曖昧だ。そして、その境界線をわざわざ見定めるために本作を繰り返し視聴するのはかなり辛い。

(文/畑中雄也)

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