もやもやレビュー

セイウチ大好きおじいさんが人体を魔改造『Mr.タスク』

Mr.タスク スペシャル・プライス [Blu-ray]
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 拉致されてセイウチに改造されたと思ったら、改造した奴がセイウチのコスプレしてバトルするなんて映画が存在なんて言えば、多分気でも触れたのだろうと思われ精神科への受診を勧められるだろう。しかし本作はそんな映画だ。視聴中、頭の中は「?」でいっぱいになり、視聴後も「?」が消えることはない。クソ映画と断じるのは極めて簡単だが、そこそこ面白かったのだから困る。

 あらすじも何も、冒頭の一文で本作のすべてを語ってしまったのだが、パッケージなどに記載されているあらすじをかいつまんで説明する。
 ポッドキャストを運営する主人公はカナダへ『キル・ビル』を真似て足を日本刀で切断した馬鹿な少年の取材へ出かける。少年は既に自殺しており、取材するネタに困っていたところ元航海士の老人とバーで出会い、航海の話を聞いてほしいと言われ翌日老人の家に出向く。
 手厚いもてなしを受け勧められた紅茶を飲むと主人公は意識を失い、目覚めると足を切断されていた。老人は主人公に「これから君はセイウチになるんだ。"Mr.タスク(キバさん)"」と告げる――という内容。
 まぁ何を言っているのか皆目分からない。何でセイウチなのか、どうして老人は人間をセイウチにしようとするのか、最後まで視聴しても分からない。狂人が欲望のままに肉体改造をするという理解しかできない。少年の足が切断された事故を笑いにきたら、自分の足が切断されたなんて皮肉が効いているなと今になって思うものの、視聴時は困惑しかなかった。

 人をさらってセイウチにする動機は語られるものの、第三者には理解不能な理屈。主人公は両足を切断され、腕を脇に接合され歯を抜かれたかと思うと脛の骨で作った牙を移植されるという、魔改造を施される。そして老人の謎理屈によりセイウチスーツを着た老人とバトル(形勢が不利になると脱ぐ)。ちなみに主人公は調教されまくったせいで心までセイウチとなり動物園でセイウチとして暮らすことに。
 感情移入する余地などまったくないせいで笑えるのだが、救いも意味もなく、それが怖い。

(文/畑中雄也)

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