もやもやレビュー

徹底したタイトル詐欺『宇宙からのツタンカーメン』

宇宙からのツタンカーメン [DVD]
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 クソ映画愛好家ならメジャーな本作を未見だったので「どれほど酷いのだろう?」と視聴したのが運の尽きだった。本当に酷い。Amazonには「消えたミイラ 全裸美女に迫る古代エジプトの魔人!」というキャッチがあるのに、それが全て出てこない。ちなみにこれはテレビ朝日で放映された時のサブタイトルらしい。フェイクにもほどがある。
 B級映画はお色気シーンで誤魔化す傾向があるけど、本作はキャッチコピー以外で軟派なものは徹底排除。ついでにタイトルのツタンカーメンも出てこない。硬派すぎて痺れてしまう。83分を返してほしい。

 視聴しても、あらすじどころか何の話なのか一つも分からないため適当にかいつまむ。アメリカの大学教授がツタンカーメン王のピラミッドから棺に入った1体のミイラと未知のカビを発見する。教授はカビとミイラを持ち帰り、何故か通常の10倍のX線を照射してしまう。どういう訳かミイラが復活してしまい、おまけに手癖の悪い研究員が副葬品の宝石を窃盗。怒ったミイラは宝石を取り戻すために街中の女性を殺害して回る。
 レントゲンからミイラは宇宙人であることが判明し、ついでにツタンカーメンを殺害したことも明らかに。警官に追い詰められたミイラをどういう訳か教授が庇い、何故かミイラと教授は宇宙へ旅立つ。ちなみに宇宙人ミイラが残した宝石をかっぱらおうとした学生は宝石に触れた瞬間に手が腐って終わるという謎の結末を迎える。

 書きながら意味分からなすぎて自分の頭がおかしくなったのかと思ったが、何度観ても本作は上記の通り。そしてホラー映画なのに殺害シーンはほぼ映っていない。1982年公開なので時代を考えるとCGもないため苦肉の策だったのだろうか。
 観たところで得るべきものはないし、21世紀のクソ映画に慣れた人間が観れば破たんした脚本もチャチな演出も凡庸だ。よく訓練された駄作好きには物足りないかも知れない。
 強いて美点を挙げるとしたら真面目に制作しただろう痕跡はかろうじて見出すことができる。83分のうち60分が何とか耐えられるのはカメラワークの巧みさによる。
 もっとも商業作品でつまらないというのはそれ自体で罪のため何の意味もないが。

(文/畑中雄也)

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