もやもやレビュー

消し去りたいほどの愛『エターナルサンシャイン』

エターナル・サンシャイン [Blu-ray]
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人生の三分の一にも及ぶという睡眠時間。そもそも、夢とは一体何なのか。睡眠中の脳は、その人が今まで見聞きした情報を整理している。同級生や旅、家族、恋人、仕事...。貯まりに貯まった記憶を引っぱりだしたり、パッチワークのようにツギハギし、脳の中で再生しているのが夢なのである。いわば、自分辞典。オリジナルのドキュメンタリー映画みたいなもの。

記憶をテーマにした映画といえば、まっさきに思い出すのが『エターナルサンシャイン』。失恋の痛手で、元恋人を忘れるべく記憶除去手術を受けてしまうという設定の面白さ。そして、恋愛がもたらす幸福と哀しみの表裏一体を表現する映像美。公開から15年の時が経ったが、いつ見ても美しく、色褪せない。

How happy i the blameless vestal's lot!
The world forgetting, by the world forgot
Eternal sunshine of the spotless mind!
Each pray'r accepted, and each wish resign'd.

幸せは無垢な心に宿る
忘却は許すこと
太陽の光に導かれ
陰りなき祈りは運命を動かす

Blessed are the forgetful, for they get the better even of their blunders.
忘却はよりよき前進を生む
タイトルにもなっているのが、劇中にも登場する、17世紀初頭のイギリスの詩人、アレキサンダー・ポープの言葉。忘却は許すこと、という言葉の奥深さよ。記憶は消すべきものではなく、許すことで忘却できるのかもしれない。

(文/峰典子)

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