タイの異種族ハーレム映画。『アリゲーター 愛と復讐のワニ人間』
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漫画やライトノベルなどで主人公がハーレム状態になるファンタジー作品がある。本作もまぁ、そんな塩梅の作品だ。悪いワニを退治してハーレムを築きましたという内容。純朴というか欲望ストレート過ぎるというか、21世紀の作品とは思えないお話に痺れるよりない。もっとも本作の元ネタはタイの民話らしく、日本だと『日本昔ばなし』を実写化したようなものなのだろう。
タイの小さな村で巨大ワニが出没し、村人を襲い村長の娘をさらった。村長はワニを退治した者に財産の半分を与え、もう1人の娘と結婚させると呼び掛ける。しかし村の若者たちはワニに怯え、誰も手を挙げない。そんな中、主人公の青年クライトーンがワニ退治に名乗りを挙げた。
クライトーンが川底に飛び込むと空洞があり、そこには好色そうな男が美女を侍らせていた。この男はワニに変身する魔法使いだった――という内容。果たしてこれがあらすじになるのか甚だ疑問だが、そういう内容なのだから仕方がない。主人公は無事、魔法使いを倒し村長の娘2人と結婚、ついでに魔法使いが侍らせていたワニ2匹とも結ばれる。異種族ハーレム作品でもある。
本筋は牧歌的だが、ワニが人を襲う場面では手足がポンポンとちぎれるスプラッターぶりを発揮。物語の緩さと映像のハードさのギャップは少々くせになる。
主人公の重婚&異種間婚で何もツッコミが入らずハッピーエンドとなっているが、向こうは重婚に寛容なのだろうかと少し調べたら、別に寛容でもなく重婚は犯罪だった。いくら民話を基にしているとは言え、21世紀の価値基準に合わせた作品にできたろうに、何故こんな無茶苦茶な設定をそのまま使ったのかは謎だ。まぁ無茶苦茶さを加速させる効果があり結果オーライだが。
(文/畑中雄也)