育てて楽しい見て美しいガーデニングの世界『フラワーショウ！』

イギリスに暮らす人々の、庭やガーデニングに対するこだわりは並々ならぬものがある。たとえそれが小さな庭だとしても、花の配置に趣向を凝らす人が多い。それに見るのも大好き。イギリス国民から熱狂的に支持されているのが、毎年5月に行われるチェルシーフラワーショー。世界最大かつ、由緒正しいといわれるガーデニングの大会である。

そんなフラワーショーで、史上最年少、さらに、華やかな花を使うことなく野生の草花だけという型破りなコンセプトで優勝した女性がいる。彼女の実話を基に描いたサクセス・ストーリー「フラワーショウ！」を紹介しよう。

アイルランドの田舎で育ったメアリーは、幼い頃から、森に遊びに行くのが大好き。いつしか「自分のデザインした庭で世界を変えたい! 」という夢を持つ。有名なガーデンデザイナーのアシスタントに晴れて採用されるも、コキ使われた挙句、クビになってしまう...。どん底のメアリーは、コネもお金も経験もないなか、寄せ集めチームを結成し(いいなと思ってた人にも、ここぞとばかりに声を掛ける)、チェルシー・フラワーショーへの出場を目指す。果たして―?　

あくまでも、実話をモデルにした映画、ということで、おそらく恋愛エピソードは後から足したものだと思われるが、本作で初主演となったエマ・グリーンウェルの瑞々しい演技が、爽やかな感動を味わえる。登場する植物や庭が素晴らしいし、アイルランドに興味のある人なら、ぜひ見てもらいたい。

（文／峰典子）