もやもやレビュー

B級映画をパロディ化『ピラニア3D』

ピラニア3D コンプリート・エディション <2枚組> [Blu-ray]
『ピラニア3D コンプリート・エディション <2枚組> [Blu-ray]』
ポニーキャニオン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 やっていることはエログロのB級映画でしかないのに、本作は興行収入1,000万ドルを超え評論家からも絶賛を受けた。構成からCGまで徹底して陳腐で量産型B級映画と変わるところはない。しかし、量産型B級映画であれば途中でダレる展開も小ネタなどを多用しテンションを保ちベタなエンディングまで持って行く。端役のピラニア犠牲者第1号に『ジョーズ』のフーパ―役や魚に詳しいアマチュアの爺さんに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役を起用するなど、映画ファンをクスリと笑わせるサービス精神あふれる内容になっている。

 舞台は観光シーズンのアメリカ・アリゾナ州のビクトリア湖。エロい祭りで騒いでいる若者たちを古代に絶滅したピラニアたちが次々と襲う――という内容。人間関係など細々とした話は徹頭徹尾脇に追いやられ、ビキニや裸の美女と虐殺シーンの力技で約1時間30分を乗り切っている。登場人物がポルノ映画監督で若者が騒ぐイベントという小道具のため女性のビキニ姿や裸が出てくるエクスキューズを設けている。
普通、B級映画でそんな建前は省略されるというのに。くだらない点ではあるが、細やかな設定こそ物語の破綻を防ぐのだと本作は教えてくれる。

 エンディングは、爆発でピラニアたちを退治しても更なる恐怖が襲い掛かってくるという、ありがちなパターン。B級映画を徹頭徹尾パロディ化しているために本作は物語性皆無の酷いあらすじとCGにも関わらずヒットしたのだろう。単なるB級映画は退屈だが、それのパロディは面白い。
 冒頭に述べたキャストのほかにも、過去の名作に出演した俳優が無駄に配置されているので、それを観てニヤリとするのも楽しいだろう。

(文/畑中雄也)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム