人生を豊かにする『THE UPSIDE 最強のふたり』
『THE UPSIDE 最強のふたり』 絶賛公開中
2011年に大ヒットしたフランス映画『最強のふたり』がハリウッドリでメイクされ帰ってきた。
スラム街出身で無職、妻と子供に見放されたデルは、ハンディキャップを持つ大富豪フィリップの介護人として働くことになる。秘書のイヴォンヌを始め周囲は、キャリアも教養もなくお調子者のデルに反対する。だが、お互いに1人の人間として接し、刺激し合う2人は忘れていた充実した日々に満たされていく。
フランス版で描かれた主軸となるすべてが真逆の2人の男性のやりとりに笑いながらも、そこに芽生える2人の友情に涙するストーリーはそのままに引き継ぎながら、2人がたどり着く人生のUPSIDEが見事に描ききられている。
リメイク版というと「もう知っているストーリーだし...」と思う人もいるかも知れないが、同じストーリーでも演じる役者が違うだけで全く違うものに生まれ変わる。最近の日本ドラマでは「遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます」のいう作品がまさにそれだ。30分のドラマの中で同じ脚本をキャストを変えて2回放送する。毎回撮り直しが必要となったという展開で、豪華ゲストが後半に演じるのが見所で面白かった。話は脱線したが、今回のハリウッドリメイクも、主人公のケヴィン・ハートとブライアン・クランストンの掛け合いはフランス版にはないユーモアがあり面白く、そこに秘書の女性としてニコール・キッドマンが加わることで新たなスパイスとなり話を盛り上げている。
このストーリーが愛されるのは、介護する側とされる側に人間としての垣根がない点にあるだろう。デルは面倒をみてやっているなんて上から目線なことは言わないし思ってもいない。フィリップも介護されている自分への葛藤はありながらも介護人への気遣いを持っている。年齢も立場も違うそんな2人が同じ人間同士として接することで芽生える友情が、胸を熱くする。
誰かと何かを話すとき、たわいもない話かもしれないけれど相手の話にしっかりとお互いに耳を傾けて考えることは、こんなにも人間を成長させるのかという気づきにもなる映画だ。
(文/杉本結)
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『THE UPSIDE 最強のふたり』
絶賛公開中
監督:ニール・バーガー
出演:ケヴィン・ハート、ブライアン・クランストン、ニコール・キッドマン
配給:ショウゲート 配給協力:イオンエンターテイメント
2019/アメリカ/125分
公式サイト:http://upside-movie.jp
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