もやもやレビュー

愛という名の方程式『ビューティフル・マインド』

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現存した数学者をテーマにした映画といえば、ベネディクト・カンバーバッチが世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読したチューリングを演じる『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』を以前に取り上げたのだが、同じ時代に生きたもう一人の数学者、ジョン・ナッシュの半生を描いた映画『ビューティフル・マインド』について紹介したい。

ロン・ハワードのアカデミー作品賞・監督賞受賞作となったこの作品は、数学馬鹿のナッシュ(ラッセル・クロウ)が、大学で学ぶ姿から始まる。といっても授業には出ず、鳩を追いかけたり、女の子を口説けずビンタされたりと、人づきあいが苦手で変人の彼は、明らかに周りから浮いている。次第に論文のテーマに行き詰まるナッシュは、ルームメイトのチャールズの励ましによって論文を完成させ、世間の注目を集めることができた。

後半、話は思いも寄らぬ方向に進む。政府の秘密機関の男にスカウトされ、ソ連の暗号を解読するよう頼まれるナッシュ。骨身を削り仕事に打ちこむが、任務の重圧に精神を病んでしまう。妻は医師から衝撃の事実を告げられる。「ご主人は統合失調症です」と...。

史実と映画の間には幾つか違いがあるのだが、ナッシュは長く統合失調症に苦しみ、精神病院に通いながら研究を続け、多くの功績を残した。紆余曲折しながらたどり着いたノーベル賞授賞式のシーンは素晴らしい。

(文/峰典子)

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