もやもやレビュー

ちゃんとした映画にしようとして失敗『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』

PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星(字幕版)
『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星(字幕版)』
ブランドン・オーレ,ステファニー・ベラン,リンジー・サリヴァン,ダニエル・バーネット,マーク・アトキンス
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 サメ映画があまりに粗製濫造されるせいか、人間が酒を飲んで3秒で思いつく程度のアイデアは既に陳腐化してしまった。もはやサメがゾンビになろうが幽霊になろうがエラ呼吸をやめようが驚きはない。そのせいか本作の制作陣は酒を飲んで10秒くらい考えたのだろう「舞台設定を変えれば差別化が図れるのではないか」と。

 舞台は近未来。地球温暖化の影響で地表の98%は海に覆われてしまった。地球の支配者は人類からサメへと代わり、何とか生き延びた人類は海上基地や船上で暮らしていた。だが、水温上昇のため海中には既に食糧を捕獲できなくなったサメたちは人類を新たなエサにしようと狙いを定める――という内容。
 
 陸地が海に沈んだ設定は『ウォーターワールド』を彷彿させる。もっとも向こうは製作費1億7千500万ドルも投入しているから迫力があるけれど、本作はB級映画なので、そこら辺の海辺で撮影したことがよく分かる。
 低予算映画に映像の迫力を求めるのは酷だが、荒唐無稽な物語を視聴者に納得させるには力技(予算)か説得力(脚本)が必要なのに本作にはどちらもない。シリアスに描いているから宙を舞って人を襲うなど、ありふれたサメ映画の光景が作品を歪なものにする。
 そのせいか中盤以降はいろいろとグダグダになってくる。B級映画にありがちな尺を稼ぐための無駄な台詞など特になく、別に手抜きをしているのではないと分かるのだが、ちゃんとした映画にしたいのかサメ映画として突っ走りたいのか、はっきりしない。その中途半端さが迷走した原因に思える。

(文/畑中雄也)

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