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馬を愛する孤高の男『オーシャン・オブ・ファイヤー』

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10月とは信じられぬ暑さを感じるが、暦の上では紛れもなく秋。競走馬も人間と同じく、暑い夏に休暇を取る。秋は世界中の馬が最大限の力を発揮しにかかる、競馬ファンにとって待ちに待った季節。気候も快適なため、毎年この時期だけは競馬場に足を運ぶという人も多いようだ。

それにしても、競馬をテーマとした映画は多くない。馬同士の駆け引きを脚本ありきで撮影するのは、なかなか難しいのかもしれない。馬を取り巻く人間模様を描くものがほとんどなのだが、もっとも有名なのは大恐慌時代のアメリカに実在した競走馬を描いた「シー・ビスケット」だろう。その評価は高く、アカデミー賞では7部門のノミネートとなった。

もう一作「シービスケット」とほぼ同時期に公開されたこともあり、その裏に隠されてしまった名作「オーシャン・オブ・ファイヤー」を紹介したい。西部で無敵を誇っていたカウボーイ・フランクを演じるのは「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルン役でおなじみのヴィゴ・モーテンセン。これがまた渋くていい感じなのだ。

アラビアの砂漠で行われる超過酷な長距離ホースレースに参加することになったフランクと野生馬ヒダルコ。中間地点で半数が脱落するという生死すれすれの闘いを繰り広げる。説明的なシーンが少なく、ストイックな映像が続くのだが、フランクとヒダルコの友情はただ美しく、静かに感動が押し寄せてくる。

ロード・オブ・ザ・リングでアラゴルンの愛馬ウラエウスを買い取ったヴィゴだが、この作品でも、やはりヒダルコを演じた馬のうち一頭を引き取ったのだとか。馬への愛は演技ではなかったようだ。

(文/峰典子)

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